
2026年度からのCLO義務化に伴い、沖縄で「CLOの仕事」について講座が行われました。
今回重要なポジションとなるCLOについて琉通総研事務局の視点から紹介していきます。
目次
1.沖縄で初開催「CLOの仕事」講座
2.CLOとは?
3.なぜCLOが誕生したのか?
4.CLOに求められる役割
5.本講座から琉通総研が見たCLOと沖縄
1.沖縄で初開催「CLOの仕事」講座

2025年7月14日(火)沖縄産業支援センターにて、那覇地域貨物運送協同組合の主催する「CLOの仕事」講座が開催されました。
講師には「CLO協議会」を主催しているJPIC(一般社団法人フィジカルインターネットセンター)理事長 森 隆行氏が登壇し、沖縄県内っでは初となる有識者による講座が行われた。
会場にはサプライチェーンに関わる県内企業の現場責任者から経営者に至るまで約100名ほどが参加しました。

講師 森隆行
1975年に大阪商船三井船舶株式会社に入社し、大阪支店輸出二課長、広報課長、営業調査室室長代理を務める。その後、AMTfreight Gmbh(Deutschland)社長、株式会社商船三井営業調査室主任研究委員、東京海洋大学海洋工学部海事システム工学科講師(兼務)、青山学院大学経済学部非常勤講師(兼務)、流通科学大学商学部名誉教授を経て現在に至る。タイ王国タマサート大学客員教授、神戸大学大学海事科学研究科国際海事研究センター客員教授、タイ王国マエファルーン大学特別講師等も務める。
2.CLOとは?
Chief Logistics Officerの頭文字でCLO(物流統括管理者)のことです。
CLOは企業の物流戦略全般を統括し、サプライチェーン全体の最適化を図る責任があり、一定規模以上の荷主(発・着)企業に2026年から任命が義務付けられます。
3.なぜCLOが誕生したのか?
2018年に成立した働き方改革法により、トラック運転業務に年間960時間の時間外労働上限の規制が適用されました。
それにより、長時間労働の多いトラックドライバーの労働時間に大きな影響が出ることで、ドライバー不足による輸送能力低下となる「2024年問題」が大きな課題となりました。
そこで、「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」(※旧流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)が2024年に成立し、この法律によって、物流の効率化を促進し輸送能力低下を防ぐために、一定規模以上の事業者を対象としてCLO(物流統括管理者)の設置が義務化されることとなりました。
4.CLOに求められる役割
日本の企業組織は、各部門が縦割りになっており、情報伝達や意思決定がそれぞれ個別に行われる傾向がある為、業務効率化が比較的悪くなっている。そのようなことから、CLOは、
・経営者としての視点と能力
・先着的思考と決断力
・社内外の外交力、調整力
・広い視野の関心、知見
が求められている。
5.本講座から琉通総研が見たCLOと沖縄
欧米ではCLOと呼ばれるロジスティクス、あるいはサプライチェーン全体を統括する役員の存在は珍しくないが、日本では一握りの企業でしか見られない。その為、任命された人も「物流統括管理者とは何なのか?何をすればいいのか?」といった戸惑いもあるという。
2026年度には国内に約3,200人のCLOが誕生する見込みとなり、このような新たな形態は物流を含むサプライチェーン全体に大きな好影響を及ぶことが予想され、県内の物流業者等においても、CLOに求められる同様な機能を果たす仕組みづくりが必須となると痛切に感じた。
また、本講座の中で特に力説されていたのは、CLOが誕生するきっかけとなった物流事情の変化に対して、経営課題とし捉えることが重要であること、CLOとはCEOに最も近い存在であるということだ。
サプライチェーンは従来のような「縁の下の力持ち」から「経営戦略の核」の位置付けとなっていくことを見据え、県内企業も物流課題は経営層にとって重要課題として捉えられていくことになるだろう。
私見であるが、国内のみならず世界の物流を含むサプライチェーン全体を会社の経営課題としてとらえ、又大手荷主業者等が追求していく効率化業務等に的確に対処行くためには、県内の物流業者等もこのような変化を重視した対応が求められる必要があると感じた所である。
CLOの義務化は、沖縄県内の物流業者や荷主業者等にサプライチェーンから発生する諸課題等を経営戦略として位置付けて取り組むことが出来るかが、企業成長につながる重要なポイントと感じた。